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(以前別ブログで書いた記事を移管いたしました)
<データ> 制作年/2003年(イギリス) 監督/ピーター・ウェーバー 原作/トレイシー・シュバリエ 出演者/スカーレット・ヨハンソン コリン・ファース 他 劇場で鑑賞(2004.6.1) 17世紀オランダの画家フェルメールの作品「真珠の耳飾の少女(青いターバンの娘)」をモチーフにした小説の映画化。 <感想> 観ようと思ったきっかけは、おそらくこの映画を観た多くの人と同じように、フェルメールの同タイトル(または「青いターバンの少女」とも言われる)の絵を好きだからだ。 ただ単純に好きというよりは、ちょっと謎めいた印象のある、不思議な絵だと感じていた。 だからフィクションとは知りつつも、この絵にはどんな物語が秘められているのか、それを知りたいという欲求が映画館へと足を運ばせた。 美しい映像。煽りすぎず、けれども情感豊かに物語を盛り上げていく音楽。 美しい寡黙な少女グリートの、控えめだけれど強烈な印象を与える表情。 画家の現実生活での苦悩、芸術を理解できる少女にめぐり逢えた喜び、そして悲哀。 権力とお金と欲望の象徴として描かれているパトロンのファン・ライフェン、フェルメールを愛しているが絵を理解できず、モデルに嫉妬心を燃やし続ける妻カトリーヌ。家計を握り、娘婿の絵をパトロンに売り込むめに、自分の娘が傷つくのを承知でグリートの存在を認め、フェルメールが絵を描けるように手を貸すマーリア。 この3人が主に、純粋なふたりを取り囲む嫉妬や欲望を象徴して、物語を盛り上げていく。 この類の映画に必要な要素は十分に揃えられていて、なおかつ役者がすばらしい。 モデルとなった絵画の少女が、現実に現れたと思わせるようなスカーレット・ヨハンソン。 美しいのもさることながら、セリフも少なく抑制された難しい役柄を見事に演じきっている。 フェルメール役のコリン・ファースも、寡黙な天才画家をうまく表現している。 先にあげた脇を固める大人3人に加え、なにかとグリートを貶めようとするフェルメールの娘もいい味が出ている。 そして、フェルメールの絵のような自然な淡い光を基調にして撮られた映像は、とても美しく、もの悲しい。 全体的に落ち着いた印象の作品ではあるが、その静けさの中にもひきつけられるものがある。 特に、グリートとフェルメールふたりのシーン。 隣り合って絵の具を調合しながら、ふと触れた画家の手に、大人の男性を初めて意識する少女。 絵のモデルとなり、画家の注文通りに、グリートが唇を濡らすために何度も下唇を舐る仕草と、それを見つめるフェルメール。 耳飾をつけるために、フェルメールがグリートの耳たぶに穴を開けるとき、耳たぶから滴り落ちる血をふき取る前に、耳元にくちびるを近づけるフェルメールと、そっと涙を流すグリート。 ただそれだけなのに、恐ろしく官能的なだ。 この映画の原作の著者シュバリエは、モデルとなったこの絵が好きで、ベッドサイドにポスターを貼っていたという。そしてそのポスターを眺めながら、「フェルメールはどうやって少女からあの幸せそうな、そして悲しそうな表情を引き出したのだろう」と思いをめぐらせ、小説ができあがった。 とある知人が、やはり同じようにベッドサイドの壁に、この絵のポストカードを貼っていた。 フェルメールが好きで、なかでもこの絵は一番気に入っていると言っていたのを覚えている。 この絵を見るたびに、私は彼のことを思い出す。純粋で傷つきやすい少年が恋をしていた、少女の肖像だと。 不思議なことに、この絵を好きだという人は、この著者や私の知人と同じような気持ちを抱いているようだ。絵画の評論をするような立場にある人でさえ、この絵を前にすると、何もいえないという。理屈を並べるのではなく、ただ感覚で、この少女に惹きつけられるとしか言えないという。 フェルメールの得意とした色である青と黄のターバンを巻きつけ、もの問いたげに見つめる瞳。 なにかを喋りだしそうな、うっすらと開いた唇。 耳元にゆれる真珠のピアス。 この映画がフィクションであるとわかっていても、この物語が本当なのではと思ってしまう。 それはこの絵が、遠い過去の人物の肖像であるにもかかわらず、いま、自分の隣にこの少女が存在するかのような、そんな錯覚を起こさせる力を秘めているからなのかもしれない。 久しぶりに、鑑賞後じんわりと感動を覚え、素直に「観てよかった!」と思える映画だった。 <関連リンク> ◇映画公式サイト ◇真珠の耳飾りの少女DVD
by rengyo_sou
| 2005-09-25 16:33
| 映画
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